恋愛結婚レシピ

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仕事と家庭の両立に悩んだ私


結婚をして失敗

世間では結婚というのは人生の墓場だなんて言われています。
口に出しては言わないけど、結婚をして失敗だった!と思っている人も多いのではないでしょうか?
今回は「仕事と家庭の両立に悩んだ私」というタイトルでインタービューに答えて頂きました。

当時は珍しかった出来ちゃった婚で結婚した私たち

現在、64歳の主婦です。60歳の時に某出版会社を定年退職しました。夫とは長い交際を経て27歳で結婚しました。
今では珍しくも無い出来ちゃった婚でしたが、同僚には知らせないまま妊娠8ヶ月迄仕事をしていました。
産み月近くになって初めて会社に報告し三ヶ月の休暇を頂きました。
今では産休・育休が普通に取れる会社も増えてきましたが、昔の事でしたので周囲への気兼ねもあり育休などは夢のまた夢だったのです。
三ヶ月の休暇が終了する頃もまだ預ける乳児園は決まっておらず、入所が決まる迄夫をはじめ家族の協力があっての会社復帰でした。

仕事で多忙だったが順調な結婚生活

仕事と家庭を両立する事は、私にとってはごく当たり前の事のように思っていました。
夫だけの収入では生活が厳しかった事も勿論ありますが、自分の食い扶持は自分が稼ぐ風な感覚があったように思います。
復帰後は残業も度々の多忙な毎日になりました。
コートも脱がず夕食の準備にかかる私を見かねたのか、次第に夫も家事を手伝ってくれるようになりました。
こうして、先に帰った方が食事の支度をするルールが出来上がりました。
子育ての方も乳児から保育園そして学童と、息子の健気な協力もあり全ては順調にいっていたのです。

仕事に夢中になる私を歓迎していない夫・・・

そんな日々を送っているうちに職場でも責任を負わねばならない立場となり、二十名程の部下を持つ課長という役職が与えられました。
丁度その頃からでしょうか。
何となく私のその環境を歓迎していないフシが夫にはありました。
特別何かを言われた訳ではありませんが、無我夢中で走り続けてきた昔の二人では無くなっていたのです。
息子も中学生になっていましたし、夫の理解さえあれば何の問題も無いと高を括っていました。

仕事と家庭のバランスをうまくとらないと・・・

夫との会話が減ってきたと感じた時、仕事と家庭のバランスの取り方、そして自分の立ち位置の危うさに初めて気付かされたのです。
けれど私の思考は家庭には向きませんでした。
それどころか、結婚という形が私を縛っているように感じたのです。
これは自分でも意外でした。
仲良し夫婦で有名でしたし、若い頃より一緒に居る事があまりに自然で、結婚について改めて考えた事など一度も無かったからです。

仕事を生涯するのであれば結婚をするべきではない!?

結婚をしていなかったらもっと仕事にシフト出来た、もっと付き合いも良くして同僚や後輩達の話も聞く事が出来た、家庭があるからといって遠慮がちに扱われる事も無かった…こんな思いが一気に湧いてきたのです。
そして、両立が無理ならば私の結婚は失敗だったとの極端な考えに囚われ始めました。
夫に不満があるとか、互いの異性問題があるとかで無いところに深い悩みがあったと思います。
仕事を生涯し続けるのであれば根本的に結婚はすべきでなかったとの思いなので、全ては自己完結の世界でした。

義母の病気で離職を決意

そんな時思っても見ない出来事が起こりました。
夫の母親に末期の癌が見つかったのです。
その時、不思議な事に何の躊躇も無く離職しようと決心しました。
あれ程執着していた仕事でしたのに、義母の生命の前では呆気ない程に吹き飛んでしまったのです。
倖いに会社側の勧めもあり、契約社員という立場を頂いて無事に定年迄勤めあげる事が出来ました。
あの時自分の思いを優先させて仕事をとっていたら、あの時あの出来事に遭遇していなかったら、起こらなかった出来事を思うのは無駄な事かも知れません。
年老いて振り向いた時、歩んで来た道だけが私の人生であり、証だと思うのです。